映画についてのよけいな事 

練りきり作りましょう!

今年観る5本

『スリー・ビルボード

2月1日公開予定

監督:マーティン・マクドナー

   (47歳)

脚本:マーティン・マクドナー

2017年トロント国際映画祭観客賞受賞

(最高賞にあたる)

2017年ヴェネチア国際映画祭脚本賞受賞

米批評サイト、Rotten Tomatoesでトマトメーターが241人中93%


『スリー・ビルボード』予告編 | Three Billboards Outside Ebbing, Missouri Trailer

 

なぜ、日本の女優さんが演じる主婦は、みんな、整然と片付いて、チリ一つ落ちてない家の中で、髪型から化粧、そして着ている服まできっちりとCMや広告の中の爽やかな主婦の恰好をしているんだろう?

以前、TVドラマのレビューサイトで、あるドラマの受刑者設定の中年の主演女優が

[刑務所に入っているのに、化粧していて不自然]

という意見が、

[ 逆に化粧してなくて、しわしわの○○(女優の名前)が出てたら観たくない] 

という多くの意見の返り打ちにあっているのを見たけど、多分、日本では正直さや自然さより、不都合な事は言わない見せない不自然さが好きな人が圧倒的に多いんだろうな。

この『スリー・ビルボードの主演女優、フランシス・マクドーマンド(60歳)が、出てくると、スクリーンの中がぱっと”日常”に変わる。

自分が住んでいる、きらびやかでも刺激的でも芸術的でもない日常の世界。

居間の戸棚の上にうっすら埃がたまっているような、

コタツの上に洗濯ばさみで袋の口をとめた食べ残しのポテトチップスやコーヒーを飲み終わったマグカップがそのまま置いてあるような。

この人がいる画面は、その映画が自分とはかけ離れた夢の世界の出来事ではなく身近な所で起こった事のように入ってくる。

実際は、住んだ事もない、行った事もない異国の話なんだけれど。

 

 

シェイプ・オブ・ウォーター

3月1日公開予定

監督:ギレルモ・デル・トロ

   (53歳)

脚本:ギレルモ・デル・トロ

2017年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞

Rotten tomatoesでトマトメーターが243人中93%


『シェイプ・オブ・ウォーター』予告編 | The Shape of Water Trailer

 

宇宙人、怪獣、超人、色んな生物が出つくして、もう飽和状態になっている感もあるこのジャンルの中で謎の半魚人の男と人間の女性との交流、そして恋愛というのはまだなかった要素じゃないだろうか。

又、人間の女と半魚人の男との異種間のセックスという今までクリエイター達が逃げていた分野に正面から踏み込んだ、という点でも。

wikiを読んで、デル・トロ監督がメキシコ人だと知って驚いた。

近年、世界の映画製作においてメキシコ人監督の活躍が目覚ましいからだ。

デル・トロ監督は色々メジャーな作品を作っていて昔から有名だけど、他にアレハンドロ・イリャリトゥ(54歳)とかアルファンソ・キュアロン(56歳)とか、

撮影監督だけど、エマニュエル・ルベツキ(53歳)(2014年から『ゼロ・グラビティ』、『バードマン』『レヴェナント・蘇りし者』で3年連続アカデミー賞撮影賞受賞)とか。

NHKBSのドキュメンタリーを観てたら、メキシコ映画技能センターという学校があって、そこの講師だったか、校長先生だったかが、メキシコ出身監督の躍進の理由を聞かれて

「メキシコには92(だと思った)の異なった文化があり、メキシコ人は、互いにそれを受け入れて、学ぶ姿勢を持っている。もし、アメリカ人が、メキシコにきて、メキシコ映画を作ろうと思っても絶対できないが、メキシコ人がアメリカでアメリカ映画を撮る事はできる。なぜなら、メキシコ人は異なる物から学び、それを生かせるからです」

と答えていた。

「America First!」なんて言葉に歓喜し、ラテン系、アフリカ系、アジア系などの有色人種を下に見るアメリカの白人気質を皮肉ってるようにも思えた。

 

 

『レッド・スパロー』

3月30日公開予定

監督:フランシス・ローレンス

   (46歳)

脚本:ジャスティン・ヘイス

  

www.foxmovies-jp.com

 


RED SPARROW Bande Annonce VF (2018) Jennifer Lawrence

 

ジェニファー・ローレンス(27歳)がロシアのスパイ、ジョエル・エドガートン(43歳)がそれと恋に落ちるCIA捜査官を演じるんだが、この「ジョエル・エドガートンって誰?」て思う人が多いと思う。なかなかメジャーになれない地味な男優さん。(Netflixで視聴開始1週間で最も最多の視聴回数を記録した『ブライト』でせっかく主役級やっても、特殊メークで固められた怪物役だったし)

だからもちろんイケメン認定もされてない。イケメン枠の正面に堂々といすわっているジョニデよりずっと整った顔をしてると思うのだけど。こういう存在の人がそこそこの大作映画でジェニファーの恋人になる、というだけで、新鮮度100%な作品になるような気がする。

 

  

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』

4月27日公開予定

監督:アンソニー・ルッソ

   ジョー・ルッソ

脚本:クリストファー・マルクス

  スティーブン・マクフィーリー


「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」予告編

 

 私は、あまりにも魅力的で主役を食っちゃうような悪役が出ている映画に惹かれるんだけど、その魅力的な悪役たちの中でも特にロキが好きでたまらない。

悪人なのに善もあるミステリアスな悪戯の神、そして愛情に飢えて不良になった少年が今もどこかで愛を欲してるかのような、永遠の反抗期のおじさん。それが、覚悟も信念も小さいから、悪事を働いても、いつも正しい善人達に阻まれる情けなさ。キュートすぎて愛さずにはいられないロキ。

又、演じるトム・ヒドルストン(36歳)の貴公子のような上品な顔立ちと全く腕力がなさそうなスリムな体型がソーやキャップとは真逆の魅力を際立たせている。

このロキがサノスの側につくという。

しかもマーベルスタジオの社長、ケヴィン・ファイギが「サノスは、アベンジャーズより圧倒的に強い」と言っている。

とうとうロキが宇宙最強の悪人と組んで、善の側のヒーロー達を倒し、念願の支配者の座に座れる時がきてしまうのか、ま、でも、組むと言っても、どうせ、使いっぱしりぐらいに違いないだろうけど。

宇宙最強の超悪人とその使いっ走りの、その活躍が楽しみで仕方ない。

ただ、一つ問題がある。

超大作みたいだからTVでも予告編をバンバン流すだろう、改めて考えてみると、TVの洋画の予告って、字幕だったか、吹き替えだったか、思い出せないが、もし、吹き替えの予告がたくさん流れて、サノスの吹き替えが日本のアニメの悪者みたいなオーバーアクションで声高な、威厳のない声だったらそれだけでテンションが下がりそうだ。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014年日本公開)のブルーレイで吹き替え版を観ればサノスの声がどんなだか分かるのだけど、あの吹き替え版は腹が立つので観たくない。そういえば、マーベル映画の吹き替えって、私が観た少ない作品の中でさえ、キャップはこんな子どもじゃない、とか、トニー社長もこんなチャラい感じじゃない、とか違和感だらけなのに、何故か、ソーとロキの兄弟だけはイメージを破壊してない、というか、マイティ・ソーメンバーは父上以外はみんな合っている。

いいなぁ……

 

 

ジュラシック・ワールド:FallenKingdom』

7月13日公開予定

監督:ファン・アントニオ・バヨナ

   (42歳)

脚本:コリン・トレボロ

   (41歳)

    デレク・コノリー


「ジュラシック・ワールド」続編は恐竜を救う?映画「ジュラシック・ワールド/炎の王国」予告編が公開

 

クリス・プラット(38歳)がキュートで面白い兄ちゃんを封印して、たくましくて男らしい大人の男を演じてもまた魅力たっぷりだという事を証明したジュラシック・ワールド(2015年日本公開)。 

普段は”35歳児”と言われ(今は38歳児だが)本当におバカで面白い事をしてくれるクリプラが別のキャラをやってもちゃんと俳優している姿を見れるというだけでいいのだ、脚本に色々アラがあったって。

ただ興行収入は現在全世界4位のジュラシック・ワールド(じきに『最後のジェダイがトップに立ち5位に下がると思われる)よりはだいぶ落ち込む気がする。

ジュラシック・パークも2作目、3作目と観るにしたがって新鮮味がなくなっていきワクワク感も減っていった。ジュラシック・ワールドがあの爆発的興行成績をたたき出したのは14年ぶりの正統派恐竜映画が久しぶりのワクワク感を取り戻させてくれたからだと思う。

それに14年ぶりのシリーズという事で、どこか大目に見てもらってたような気がするコリン・トレボロウとデレク・コノリーのおめでたい脚本も、2回目となると、もう、そんな温かい目ではなく、正当に手厳しく評価されちゃうんでは、という気がする。更に、ワールド1作目は猿の惑星:創世記(2011年日本公開)の脚本家もライティングに加わってたそうだが、続編はトレボロウとコノリー二人だけで書いているそうで、予告編を見ると、やっぱり、というか、B級感が漂ってる気がする。

でも、シリーズが続くにしたがってB級ぽくなっていってしまうのは仕方ないんだろうなぁ……

それにジュラシック・パーク(1993年日本公開)からジュラシック・ワールド続編まで5作も作って、「もう、飽きた~!」って声を覆すために、奇想天外なアイディアとかパニック映画の色んなネタをぶち込んでって、もはやB級映画の態になりながらも、どこか、ちまたの数あるB級品とは一線を画してるように見える。

それはこのシリーズが、人間のおろかさのせいで自然に復讐されるという哲学的なメッセージを保持し続けているからではないだろうか。

原作者のマイケル・クライトン(2008年没)や、原作に惚れ込んで1作目を世に出してくれたスピルバーグ監督(もう71歳)の偉大さを改めて感じます。