『マスター』と『フランス特殊部隊RAID』 俳優達の魅力を楽しむ
ストーリーやテーマは目新しくはなく、観る動機にはならないですが、演じてる俳優さん達の魅力で、2時間(又はそれ以上)たっぷり楽しめる作品を観ました。
『マスター』
(2017年日本公開)
監督、脚本:チョ・ウイソク(42歳)
あらすじ
投資会社のチン会長(イ・ビョンホン)は、その綿密な計画性と天性の口のうまさを駆使し、韓国最大規模のネットワークビジネスで多額の資金を市民から巻き上げる。やがて会社は倒産、チン会長は金と共に海外へ逃亡する。警察の知能犯罪捜査班のキム(カン・ドンウォン)は、優れた知性を武器に彼を逮捕すべくチームを編成。チンの部下だったITの天才パク(キム・ウビン)を仲間に引き入れ、チンの足取りをたどっていく。だが突…
私が最も好きな容姿の韓国男優と最も嫌いな容姿の韓国男優です。
『デュエリスト』(2006年日本公開、監督:イ・ミョンセ、脚本:イ・ミョンセ、イ・ヘギョン)を観た時、「現世にこんな美しい男がいるのか…」と驚愕しました。
『デュエリスト』、作品自体は韓国内でも興収面で大惨敗、ストーリーも穴だらけで、映画ではなく、カン・ドンウォンを見せるPVだ、と酷評されてますが、美しい男が好きな女性にとっては、ため息の連続の、これも又俳優の魅力を存分に楽しめる作品でした。
コスプレしてるから、二倍増しで綺麗に見えるんじゃないか、と思われるかもしれないので、コスプレなしの顔も。
そして、日本では、中年以上の女性10人に聞いたら、多分、8人は知ってるだろう、人気、知名度NO.1の韓国男優イ・ビョンホンさん。ですが、私はみんな何故こんな猿みたいな下品な顔にキャーキャー言うのか、理解できません。ただ、あんなに美しいドンウォン君が日本では全然知名度がなく、あのさる男があんな絶大な人気があるという事は、容姿の好みって人によって千差万別なんだなぁとつくづく納得させられます。
故に、私が、圧倒的多数のさる男のファンの気持ちが理解できないのも自然の摂理という事で、もし、ビョンホンファンの方が読んでくださっていたら、まるでけんかを売ってるかのような私の言葉を許してください。 ただ、この『マスター』を観て、私、やっとイ・ビョンホンさんの凄さが分かりました。何か、『マグニフィセントセブン』(2017年日本公開)の時よりハンサムになってるし、カリスマぎらぎらで、オーラも大放出してる天才詐欺師役がぴったりでした。のり移ったかのように。
ドンウォン君も、今までは、悪の化身みたいな悪役か、哀愁漂う中性的な美青年役(といっても、もう37歳のおじさんですが)が一番似合う、というのが、ファンの間での定説でしたが、10キロ太って演じた、この作品の硬派で男らしいキム刑事役がとても似合っていて、イメージを決めつけてしまっていた自分のおろかさを実感しました。
そして、もう一人の主役、キム・ウビン(28歳、現在、鼻咽頭癌で闘病中)。ビョンホンさん演じる詐欺師のチン会長の部下で、天才ハッカーのパク・ジャングン役。
この人の韓国アイドルぽくて、癖のある顔が、最初は好みじゃないなあ、と観てたんですが、途中から、ジャングンという人間のチャラ男な見かけに反する人の好さとか、完全な悪(チン会長)と完全な正(キム刑事)の間で揺れ動く普通の人間としての人間臭さが、この作品の魅力を倍増させている事に気づいて、楽しませてもらいました。
他にも、名バイプレイヤー、オ・ダルス(49歳)や年を取って美しいだけでなく、ふり幅の広い女優さんになったオム・ジウォン(40歳)にも楽しませてもらえて、この韓国製クライムアクションムービー、俳優さん達を見るだけで、もう充分に満足できる映画でした。
が……
内容もアクションも、さすが、韓国ノワールの国が作る映画、どこかの国が作るようなスカスカなクライムアクション映画は作りません。ちゃんと頭と技術とお金を使った、中味の濃いエンターテイメント作品に仕上がってます。
※この先は『マスター』の部分的ネタばれがあります。
キム刑事に罪の減刑を提示され、チン会長を捕まえる手先になる一方で、昔からの仲間に誘われて会長の巨額の財産をネコババしてとんずらするつもりかも?と思わせたり、風見鶏のようにどっちを向くか分からない、味方なのか、裏切るつもりなのか、本心が分からないパク・ジャングンの事をチン会長が
「お前は両面テープのような奴だ、あっちにくっつき、こっちにくっつき」
と、苦々しく語るシーンがあり、上手いなぁ……と唸ってしまった。
こんなお洒落なセリフは日本のアクション映画じゃ、『あぶない刑事』シリーズの中しか聞けないんじゃないだろうか、映画製作の才能に関しては、日本は韓国の足元にも及ばない気がします。
『フランス特殊部隊RAID』
(日本未公開、 2017年フランス国内の国産映画興収NO.1)
監督:ダニー・ブーン
脚本:ダニー・ブーン
サラ・カミンスキー
主演:アリス・ポル
ストーリー
内務大臣ジャック・パスクアリの一人娘で警察官のジョアナは、幼い時に母を亡くしてから、RAIDに入隊することだけを夢見て日々身体を鍛えているのだが、おっちょこちょいな性格で、そもそも警察官としての素養にも欠けるため、入隊試験に何度も落ち続けている。それでも決して諦めようとしない彼女を心配した父ジャックと婚約者のエドワードはジョアナにRAIDの厳しい訓練を受けさせれば現実を知って諦めると考え、ジャックはRAIDのトップであるルグランに圧力をかけて入隊試験に合格させる。ルグランもベテラン隊員でジョアナの指導担当となったウジェーヌも、ジョアナはすぐに音を上げると思っていたが、夢が叶ったジョアナは想像以上の頑張りを見せただけでなく、実際に成果をあげ、周囲から認められるようになる。そんなジョアナに耐えきれなくなったエドワードはジョアナにこれまでの思いを吐き出して別れを告げると、ジョアナはエドワードの本心を知ったことで吹っ切れた気持ちで別れを受け入れる。そして、ふとしたことからジョアナはウジェーヌと深い仲になる。
一方、セルビアのテログループ「レオパール」のリーダーであるヴィクトールと、そうとは知らずに知り合いになったジョアナは、会話の中でRAIDの作戦に関する情報を漏らしてしまっていた。ふとしたことから、ようやくその事実を知ったジョアナはレオパールが各国首脳が集まっている会議を狙っていることに気づき、ルグランの命令を無視して、会議が行われている古城にかけつける。しかし、父ジャックを含め、誰もジョアナの言うことに耳を貸そうとしないため、ジョアナはジャックを人質にとって無理やり首脳らを退出させる。しばらくしてレオパールによる攻撃で古城が倒壊する事態となったことで、ジョアナの判断が正しかったことが証明される。そして、攻撃の成果を確かめにやってきたヴィクトールらとジョアナの間で銃撃戦となり、さらにそこにウジェーヌらが駆けつけたことで、最終的に事件は解決、ジョアナは大統領から表彰を受けることになる。しかし、ジョアナのおっちょこちょいは治らない。
出典:ウィキペディア
本来なら、頭脳明晰で何でも完璧でなければならない特殊部隊の隊員が、凄いドジで、不器用で、という設定のコメディ映画、どこかで似たようなのを見た気がして(『裸の銃を持つ男』シリーズかな?)膝を打つほどの斬新なアイデアとは感じませんが、この作品の売りはアイデアだけではなくむしろ、ヒロインの魅力だと思います。
以前、NHKの大河ファンタジー『精霊の守り人』(2016年~2017年)で女用心棒役を演じていた綾瀬はるかさん(33歳)、全身を日焼けして見えるように肌を茶色く塗って逞しい女戦士に見せてましたが、体格は華奢なままのいつもの綾瀬さんなので、女性の匂いは、充分残っていました。
ハリウッドでも、アクション映画のヒロイン達は、シャーリーズ・セロン(42歳)も、ガル・ガドット(32歳)も、昔のアンジョリーナ・ジョリー(42歳)、サンドラ・ブロック(53歳)もどんなに男前でも、女の色気はしっかり漂わせていて、それが、魅力でもあり、リアリティの欠如でもあったと思います。
この作品の新しくてリアルなところは(と私が思う)ヒロイン役のアリス・ポル(無名の新人なのか分かりませんが、ウィキにもプロフィールがまだ載ってません)、色気が全くないのです。かなりの美人でもあり、太陽のような明るい笑顔が、人の心をわしづかみしちゃう”愛される顔”なんです。
でも、役柄を反映した大柄で武骨なボディと、正義感あふれ、誰にでも誠実で裏表なく大らかさにあふれた態度が、女性を全く感じさせないのです。
その女性の匂いゼロな所が、今までのアクション映画やアクションコメディのヒロインになかった爽やかな魅力を発散していて、同性から見てとっても好感度大なヒロインです。
とにかく、この女優さん、いいです。同性として大好きになっちゃいます。
又、彼女をとりまく隊員の同僚、上司(を演じてる俳優さんが監督、脚本をやってます)その上司、父親、フィアンセ、敵もまた、一癖あって退屈しません。4月中に、又、WOWOWで再放送すると思うので、加入されてる方は是非、ご覧になってください。損はしないと思います。
WOWOWと言えば、4/12から二か国語で、4/16からは字幕で、待ちに待った
『シェイムレス』7
放映開始です。
このドラマも、他では絶対観られない、お説教色ゼロの人間賛歌米国ドラマです。既存の日本のドラマ、海外ドラマに魅力を感じなくなってる方 でWOWOWを観れる方は是非、一度お試しを。