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『シェイプ・オブ・ウォーター』レビューから感じた男女の違い

シェイプ・オブ・ウォーター』のネタばれしてます。

 

「シェイプ・オブ・ウォーター 写真」の画像検索結果

出典:シネマトゥデイ

 

前記事を書いてる時に、早く仕上げてUPしなきゃ、と他の方によるシェイプ・オブ・ウォーターの感想を一切読まなかったのですが、記事のUP後、やっと、他の方のレビューをたくさん読む事ができました。賛否両論がある事はもとより、男性と女性で、この作品に対する感想が、真反対な傾向があるのでは?と感じました。

この作品を、「エログロ、気持ち悪い」とか、「あんな怪物に惚れるヒロインに感情移入できない」と書いている方々で、女性の場合は、作品選びの好みが、[醜い物、汚い物、リアル過ぎる物は見せない]方針のディズニー映画やハリウッドの正統的な大作映画、ヨーロッパの映像重視の美しい作品等が好きなんだろうな、と推測されるのですが、男性の場合は、普段、暴力描写や残酷なシーンの多いアクション映画を楽しんで観ていても、何故か、「この映画のグロさは耐えられない」「グロとロマンスが同居してるのが気持ち悪い」という感じ方をしてるように思います。

そのような感想を持つ男性の考え方を代表しているような表現だなと思ったのが、ブログ成功者(19万PVもあるそうです)の大学生の男性が「映画ブログ マイペースナイト」で書いているこの文章です。

 

 

さすがにオナニーが日課で、男性とまともな恋愛をしたことがなくても、何も怪物と生行為に及ぶのはないだろと。

こればかりは理解不能で、本作にときめく女性の心理が理解できません。 

出典:マイペースナイト

[ネタバレ感想]

シェイプ・オブ・ウォーター

ただただ気持ち悪いだけのファンタジー映画 

 

 

うーん……

この文章を読むと、イライザが、まるで、セックスや恋愛に飢えてたから、怪物と性行為に及んでしまったのだと軽蔑してるようにとれます。

当たり前ですが、女に男の気持ちが分からないように、男にも女の考え方って全然分からないんですね。

 

米国 のコメディドラマを観てると、時々、主人公やその女友達が、バックの中にバイブレーターを入れてるシーンがあるし、調べたら、米国のほとんどの独身女性がバイブレーターを持ってるそうです。

だから、米国の独身女性はみんなイライザと同じような事をしてるわけです。

上記の文章を書いたブロガーの方や同じようにイライザを「欲求不満の可哀想なおばさん」みたいなニュアンスで書いている方々はその事を知っててそう思うんでしょうか?だとしたら、米国の普通の独身女性はみんな可哀想だと思うんでしょうね。

私は、デル・トロ監督は性欲も当たり前にある米国の等身大の女性を描きたかったんじゃないかと思います。

ディズニーアニメの中のプリンセスや日本のアニメの美少女のような二次元の絵の中にいる女性ではなく。

そして、米国人女性として普通なイライザが半魚人と性行為に及んだのは、彼の事が本当に好きだからでしょう。何故そんなに彼の事が好きか、彼の中に直観的な共感とか、もう一人の自分を見てるように思うからでしょう。

女にとって大切なのは外見よりも中味なのです。

そして、同じ価値観を共有してくれてるか、なのです。

だから、ピアノ・レッスン(1994年日本公開 第66回アカデミー賞、作品賞、脚本賞、主演女優賞助演女優賞受賞)のヒロイン、エイダは、お金持ちで名士だけど、エイダがピアノを大事にする気持ちを分かろうとしない旦那を嫌い、ピアノを弾く自分を愛してくれる(原住民のような見るからに卑しそうな)男と恋仲になるのです。

 

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(以下は私が、一般的な傾向と推測してる事で、勿論、女性全員、男性全員がその通りだとは思ってません)

女性は外見だけでなく中味も本当にいい男がいたら、勿論、一番先にその男を選びますが、もし、外見はいいけど性格は悪い男と、外見は悪いけど性格はめちゃくちゃ良くて、自分と価値観が同じな男がいたら、半分以上の女性が後者を選ぶでしょう。

一方、男性は基本的にコミュニケーションしたり、共感しあう事を重視してないから、相手が、ただ見ていて綺麗ならそれで満足なんじゃないでしょうか?

だから、半魚人とイライザのラブシーンを見る時、男性はビジュアルだけ見て、気持ち悪いで終わっちゃう、又は、AVを観るような気持ちになってしまう為、ビジュアルが良くないと、気分が萎えちゃうのかもしれませんが(自分が女なので、全く推測です。間違ってたら申し訳ありません)、女性の場合は、画面に映っている姿よりも、「イライザ、良かったねー!自分のかたわれのような人と出会えて、その人と結ばれて」と、イライザの気持ちを考える事に集中してるから、ときめくのです。

 

ハリウッドの映画って、政治的主張を含まない大作映画や娯楽映画とは別に”ポリティカル・コレクトネス”な映画というジャンルがあります。こんなに民主主義が普及している現代でも、女性の地位の低さ、とか、マイノリティ、障がい者LGBT等に対する差別、偏見は一向になくならない。それにたいする批判や抗議を含む作品は略してポリコレと言われます。

※political correctness

 ポリティカル・コレクトネスpolitical correctness、略称:PC、ポリコレ)とは、日本語で政治的に正しい言葉遣いとも呼ばれる、政治的・社会的に公正・公平・中立的で、なおかつ差別偏見が含まれていない言葉や用語のことで、職業性別文化人種民族宗教障害者年齢婚姻状況などに基づく差別・偏見を防ぐ目的の表現を指す[1][2][3]

 出典:ウイキペディア

このシェイプ・オブ・ウォーターもポリコレ、ポリコレと連呼されてます。

うちの57歳の旦那は、表面的には、特に生真面目でも凄い保守的でもない、何事もほどほどな普通のおじさんなので、LGBTの事どう思ってるのか興味がわき、聞いてみました。

私「もし、ゲイの人が身近にいたら、気持ち悪いとおもう?」

旦那「うん、やだね、そばにいてほしくない」

私「自分に何の被害がなくても?」

旦那「だって、気持ち悪いじゃん」

念の為、聞いてみました。

私「ゲイとニューハーフの違いって分かる?」

旦那「えっ、同じじゃないの?」

絶句してしまいました。

私はもし、会社の同僚が、ご近所さんが、サークル等の友人が、更に、息子がゲイだったとしても、全く気にならないです。変な話、息子がニューハーフになっちゃっても、それで自立して幸せに生きていけるなら何の文句もありません。むしろ、ゲイやニューハーフの方々の方が女性的な会話を一緒に楽しめる気がするので、ウエルカムです。

そんな私もリベラルすぎると思いますが、うちの旦那も今どき、古すぎないか、と思います。いや、ゲイとニューハーフの違いも分からなかった事は、古いというより、教養がなさすぎる、です。

旦那以外にも、私が目撃している、又は、また聞きした日本の普通のおじさん達に関しては、どうも、マイノリティや弱者とされる人々に対する偏見や不寛容は女性より強いように思います。

例えば、自分の子どもが障がいを持って生まれてきた時、いつまでも、その事を受け入れられない、自分が障がい児の親だと認めたくないと、苦しみ続けるのは、父親の方が圧倒的に多いそうです。(若い世代の、よりリベラルな価値観の中で育ってきた男性たちについては違うのかもしれませんが) 

又、介護施設で、入所者の老人を虐待したり、家庭内で、介護度の高い母親や妻を虐待するのも男性の方が多いそうです。

2014年度調査では、介護施設の男性職員の比率は全体の21.9%なのに、虐待加害者の59.3%は男性職員だそうです。

女性職員は力がないから、という指摘もあるでしょうが、虐待は力がなくてもできますしね。

障がい者施設の入所者への暴力などで、告発されるのも、男性職員ばかりな気がしますが。でも、これは女性職員はあまり、障がい者施設で働かないとか、暴力をふるうような虐待は女性にはできないから、という理由もあるかも、ですが。

どうして、女性に比べて男性は弱者に辛く当たってしまう人が多いのか?

これは私の全くの独断、推測でしかありませんが、

原始時代から、男は狩りをして家族を食べさせたり、他の種族と戦ったり、強くなければ生きていけなかったので、「強くあれ」という価値観が一番大事だという遺伝子を内包しているから、弱い人に感情移入するのが、苦手なのではないでしょうか?

一方、女は自分自身も、体力的、経済的に弱いし、赤ちゃんや子ども等弱い者の世話をするのが仕事だったので、自然と弱者の立場に立てるような遺伝子を持っているのでは?

それに21世紀の今でさえ、男性は、弱肉強食の資本主義な社会で、独身者は自分の生活やキャリアを守る為、妻帯者は家族の生活を守る為に常に他人と戦ってかないとならないですものね。そして、勝つ為に弱い者の気持ちなんて考えてる暇もないでしょう。常に強い物や上を見て生きなければならない人間に「弱者の立場に立ってみろ」なんて、言うの、酷ですよね。

又、どこかで聞いた話ですが、生物のオスというのは、自分のDNAをこの世に残したい、という本能がとても強いそうです。なので、ストレートの男性は、ゲイとかレズとか、生殖に結びつかないセックスを象徴するような文化や思想が、理屈ではなく本能的に理解できないので嫌なのかもしれないな、と思います。

 

この記事を読んでくださった方の中で自分の事を悪く言われてるように聞こえ、気分を害した男の方がいらっしゃったらごめんなさい。

男と女はこんなに違うんだ、という事を書きたかっただけですが、憤慨された方で意見や反論をコメントしてくださる方がいたら、喜んで読ませてもらいます。